【2/28更新】オンライントークイベントのアーカイブ動画配信を開始しました。
vol.1「生のスコーレを語る」 / vol.2「主体化と教育」 / vol.3「ひらかれた生へ」
【3/9更新】全コマ受講およびフィールドワークの受付終了しました。単発視聴についてはこちら
スコーレ(skole)は、デンマーク語で学校を意味します。あわ居の「生(せい)のスコーレ」は、受講者一人ひとりが「生きることの本質」や「他者と共に生きること」について学び、考え、対話しながら、自分自身の生き方や実践をあらためて見つめ直すための、全16回・半年間の学びのプログラムです。
「生のスコーレ」では、ケア、アート、マイノリティ、人類学、障害、ジェンダーなど、多様な分野・領域の最前線で活躍する講師から「生」についての多様な視点を学びます。また、それらを起点に受講者自身の内側に生じる揺らぎや問いについての探究・省察・対話を重ねる時間も大切にしています。こうしたプロセスを通じて、これまで当然のように受け入れてきた世界の捉え方を更新しながら、ご自身の在り方や働き方、他者との関わり方について問い直し、それらを根源的で生き生きとしたものにしていくことを目指します。
「生のスコーレ」は、早急に答えを出したり、即効性のある解決策を提示する場ではなく、むしろ、不確かさやあいまいさの中に身を置きながら、自身により適した「生」のかたちを粘り強く模索し、独自の道を切りひらくことを目指す、実践的で総合的な学びの場です。
生きることの旅へ、ようこそ。
●特徴・ポイント
・多領域を横断し、様々な視点を学ぶ
「生」は多種多様な要素や側面から形成されており、「生」についての学びを深めていくには、様々な学問領域に触れることが不可欠だと考えます。「生のスコーレ」では、それぞれの分野の最前線で活躍する講師陣から、各領域の動向や視点について学ぶなかで思考の可動域を広げ、「生」を重層的に捉えていくことに取り組みます。
・個々のペースで学べる受講スタイル
「生のスコーレ」はオンデマンド講義(録画講義でいつでも視聴可能)がメインとなるため、ご自身のライフスタイルに合わせた受講が可能です。また、期間中の再視聴は何度でも可能となるため、ご自身のペースでじっくりと「生」についての学びを深めることが可能です。またそれぞれの講義は単発視聴も可能ですので、お一人おひとりのペースや関心に応じて、柔軟に受講していただけます。
・学びを深めるための多様なアプローチ
講義での学びは、受講している時間だけではなく、講義後にじっくりと何度も向き合いなおすことでこそ深まっていくと考えます。本講座では、毎回の振り返りのワークシートや仲間とのダイアローグ、パーソナルセッション、レポートの執筆などを通して、各講義をきっかけに生じた個々の問いや異和感、興味の広がりに深くアクセスし、より深い学びにつなげていくことに取り組みます。一人の学びの時間だけでなく、仲間と出会い、協働的に問いを深めていくことができるのも本講座の大きな特徴です。
・あわ居でのフィールドワークの実施(オプション参加制)
「生のスコーレ」全コマ受講者の方は、オプションとして、講座期間中にあわ居(岐阜県郡上市)で行われるフィールドワーク『生きる場としての地域を考える』(2泊3日)へのご参加が可能です。当日はゲスト講師の松嶋健さん(人類学者/広島大学大学院教授)と平野彰秀さん(地域再生機構副理事長)と共に、あわ居のある石徹白集落に深く入り込みながら、「生きる場としての地域」について仲間と共に全身的に深く思考し、自身の実践や生き方、現代の社会について問い直すことへとつなげていきます。
●こんな方におすすめです
・自分の生き方を問い直したい人
・オルタナティヴな生き方や働き方に関心がある人
・自身を活かした働き方を深めていきたい人
・過渡期にあり、他者や社会との関わり方を再構築したい人
・他者とのかかわりについて深く考えたい人
・多様な視点から“生”を探究したい人
・自らの表現や実践をより深めていきたい人
・自身で表現や活動をはじめていきたいと思っている人
●主催者からのメッセージ
私たちはあわ居を営みながら、これまで当たり前のものとしてきた価値観が一旦中断されてしまう、そんなゆらぎの感覚を伴う時間や空間の大切さを実感してきました。そこには未だ生きられていない、あらたな「生(せい)」への兆しがある。そのことをあわ居での実践を通して、様々な他者と出遭うなかで、ひしひしと感じてきました。
「生のスコーレ」では、各領域の第一線で活躍する講師陣から「生」について多角的に学ぶことを起点にしながら、これまでの価値観を良い意味で一旦中断し、ご自身の生き方や実践について真摯に向き合い、問い直す、そんな時間や空間をつくることに主眼を置いています。
万人にとってまったく同様の「生」の有り様というものはおそらくなく、個々それぞれの「生」に対する単純明瞭な解答や道筋が、どこかに用意されているということもまたおそらくはありえません。あくまでも「生」は、自己の身体と向き合うことや、他者や環境と関わり合うことをいつでも継続/刷新しながら、主体的に、あるいは集合的に築き上げていく必要がある。そのように私たちは考えています。
その意味で自らの「生」を築き上げていくことは、あらゆる先入観を取り除きながら、他者や環境、自己の身体といったものと真摯に向き合い続けるなかでこそ可能になる営為であり、一生をかけて取り組んでいく大仕事だと考えます。そんな一生続く「生」の探究の過程において、本プログラムがわずかであれなんらか寄与することがあれば何よりです。「生のスコーレ」へのみなさまのご参加を心よりお待ちしています。
あわ居 岩瀬崇
●カリキュラム
●講義内容/講師紹介
意味の宙吊り
—社会を変えるための考え方—
講師:山内裕
視聴期間:2026/4/15~7/15
本当に新しいものを提示し、社会を変えていくには、既存の意味のシステムを解体する必要がある。意味をつなげて説明するのではなく、意味を切断し、ワケがわからない状態、どんな根拠にも頼ることができない状態を生み出す必要がある。このように新しいものを生み出すためには、未来を想像するのではなく、むしろ過去に既存の意味のシステムから排除された「敗者」を救済しなければならない。そのためには、社会の動きをよく見ること、特にそれまで敗者として排除されたものを見極めることが求められる。そのとき人文社会学が役に立つだろう。
■山内裕(やまうち・ゆたか)
京都大学経営管理大学院教授。経済学部・経済学研究科、およびデザインスクールにて兼務。1998年京都大学工学部情報工学卒業、2000年京都大学情報学修士、2006年UCLA Anderson Schoolにて経営学博士(Ph.D. in Management)。Xerox Palo Alto Research Center研究員を経て、京都大学経営管理大学院に講師として着任。2021年4月より現職(https://yamauchi.net/)。現在は、人文学的視点から「文化の経営学」に注力して研究している。文部科学省価値創造人材育成拠点形成事業(2021-2025年度)として、社会人向け創造性教育プログラム京都クリエイティブ・アッサンブラージュを主宰している。(https://assemblage.kyoto/)。
■参考書籍
・今村仁司『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』( 岩波書店、2000)
・鹿野祐嗣『ドゥルーズ『意味の論理学』の注釈と研究: 出来事、運命愛、そして永久革命』(岩波書店、 2020)
自己が在るとはどういうことか
-私が私であることの固有性はどこにあるのか-
講師:牧野篤
視聴期間:2026/5/1~8/1
私たちは、自分が過去から現在を経て未来へとつながっていると考えている。それは、時間が未来から現在を経て過去へと流れていくという線型時間の観念をともなっている。この時間観念はまた、近代資本制社会における資本増殖のアナロジーとして人間の発達をとらえることと重なっている。しかし、なぜ自己は過去から現在を経て未来へと移行し、時間は未来から現在を経て過去へと流れていくのかを問うことは少ない。この講義では、私が私であることの根拠としての時間を問うことで、他者とのかかわりの在り方=〈関係態〉としての固有の自己が在るとはどういうことなのかを考えたい。
■牧野篤(まきの・あつし)
大正大学地域創生学部教授・東京大学名誉教授、博士(教育学)。専門は社会教育学、生涯学習論、中国近代教育思想など。名古屋大学助教授・教授を経て、2008年東京大学教授、2025年に定年退職後、現職。一般財団法人人生100年社会デザイン財団代表理事。中央教育審議会生涯学習分科会委員・副分科会長。農林水産省農村RMO推進研究会アドバイザー。著書に『社会づくりとしての学び—信頼を贈りあい、当事者性を復活する運動』『生きることとしての学び—2010年代・自生する地域コミュニティと共変化する人々』『社会教育新論—「学び」を再定位する』他多数。
■参考書籍
・牧野篤『発達する自己の虚構—教育を可能とする概念をとらえ返す』(東京大学出版会、2021年)
・牧野篤『自己が在るとはどういうことか—学びの可能性を考えるために』(東京大学出版会、2026年*近刊予定)
すき間と生きるスペース
講師:村上靖彦
視聴期間:2026/5/15~8/15
この社会には、すき間へと追いやられている人たちがいる。彼ら/彼女らは、ケアから排除され、この社会から存在しないことにされている───。隔離や排除、競争や管理といった方法に頼らず、一人ひとりがただ存在し、生きることを肯定し合うようなケアの場所をどのように構想し、かたちづくっていくことができるだろうか。本講義では、マイリティ属性を持つ人たちとの交流を通してうまれた〈生きるスペース〉の創出というテーマについて、「居場所」「土着」「遊び」「声」「沈黙」といったキーワードにも触れながら考察を加えていく。本講義はあわ居主宰の岩瀬崇氏が聞き手となり、対話的な要素も含みながら即興形式で実施する。
■村上靖彦(むらかみ・やすひこ)
1970年東京生まれ、大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点CiDER兼任教員。著書に『客観性の落とし穴(ちくまプリマー新書、2023年)』、石原真衣との共著『アイヌがまなざす 痛みの声を聴く』(岩波書店、2024年),『傷つきやすさと傷つけやすさ ケアと生きるスペースをめぐってある男性研究者が考えたこと』(KADOKAWA、2025年),『鍵をあけはなつ: 介護・福祉における自由の実験』(中央法規出版、2025年)など。
■参考書籍
・村上靖彦『すき間の哲学』(ミネルヴァ書房、2024年)
・村上靖彦『傷つきやすさと傷つけやすさ』(KADOKAWA、2025年)
対話のカーニバル
講師:五十嵐沙千子
視聴期間:2026/6/1~9/1
対話はいつも私たちの間で凍えている。対話はなぜ死ぬのか。それが生まれるとはどのようなことなのか。あるいは私たちが生まれる/死ぬとはどのようなことなのか。対話を解凍することは命を解凍し、この地上に解き放つことである。この「講義」では対話の構造と対話の持つ力について、これまでの哲学対話の実践、それからハイデガーやハーバーマス、あるいはシェリングやカント、もしかするとオープンダイアローグ、ときには経済学のゲーム理論にも触れながら、あわ居主宰の岩瀬崇氏との「対話」を通して「対話」について語る。この対話は、おそらくみなさんの目の前で生起する偶然のカーニバルである。
■五十嵐沙千子(いがらし・さちこ)
哲学者。筑波大学大学院人文社会系准教授を経て2024年に独立。専門はハーバーマス、ハイデガーを中心とする現代哲学。現在はシェリングと唯識思想の関係について研究を進めている。2010年より一般市民や企業等を対象とした哲学対話(ソクラテス・サンバ・カフェ)を全国で展開。著書に『この明るい場所—ポストモダンにおける公共性の問題』(ひつじ書房、2018年)、『幸福をめぐる哲学者たちの大冒険!』(春秋社、2024年)、共著に『オープンダイアローグ 思想と哲学』(石原孝二・斎藤環編、東京大学出版会、2022年)他。
■参考書籍
・石原孝二・斎藤環編『オープンダイアローグ 思想と哲学』(東京大学出版会、2022年)
・五十嵐沙千子編『幸福をめぐる哲学者たちの大冒険 !』(春秋社、2024年)
共依存とケア
講師:小西真理子
視聴期間:2026/6/15~9/15
人間関係の依存症を意味する共依存は、これまで否定的なまなざしを向けられてきた。多くの研究や臨床は、共依存者の声の脆弱さを証明することを試み、当人の症状を改善させたり、当人たちを引き離したり、その関係そのものを変容させたりすることに重きをおいた対処の必要性を強調してきた。だがそうした規範の外にある生にこそ、私たちが見過ごしてきた「別の物語」が含まれているのではないか。本講義では、親密な関係において暴力が生じた場合、それにもかかわらず被害者が加害者に愛着を感じているように見える事態について検討し、私たちが聞き逃しがちな声の存在を明らかにする。
■小西真理子(こにし・まりこ)
大阪大学大学院人文学研究科准教授。専門は臨床哲学、倫理学。著書に『共依存の倫理:必要とされることを渇望する人びと』(晃洋書房、2017年)、『歪な愛の倫理:〈第三者〉は暴力関係にどう応じるべきか』(筑摩選書、2023年)、『共依存とケア:ふるいにかけられる声を聴く』(青土社、2025年)など。
■参考書籍
・小西真理子『歪な愛の倫理:〈第三者〉は暴力関係にどう応じるべきか』(筑摩書房、2023年)
・小西真理子『共依存とケア:ふるいにかけられる声を聴く』(青土社、2025年)
トラブルとフェミニズム
講師:藤高和輝
視聴期間:2026/7/1~10/1
「フェミニズムとは何か?」という導入から始め、私が専門的に研究しているジュディス・バトラーの思想を解説しながら、「トラブル」と「フェミニズム」の関係性や「〈トラブル〉の哲学」を探求します。〈トラブル〉は一般的にネガティブな出来事や感情として理解されますが、それに尽きない肯定的な可能性を考察します。2022年に出版した拙著『〈トラブル〉としてのフェミニズム』を同様のテーマで書きましたが、現在の社会的文脈に即して再考することを通して、改めて、「トラブル」と「フェミニズム」についての思考を深める機会にしたいと考えています。
■藤高和輝(ふじたか・かずき)
京都産業大学文化学部准教授。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。専門は、フェミニズム、クィア理論、現代思想。著書に、『ジュディス・バトラー——生と哲学を賭けた闘い』(以文社)、『〈トラブル〉としてのフェミニズム——「とり乱させない抑圧」に抗して』(青土社)、『ノット・ライク・ディス——トランスジェンダーと身体の哲学』(以文社)、『バトラー入門』(ちくま新書)。
■参考書籍
藤高和輝『〈トラブル〉としてのフェミニズム——「とり乱させない抑圧」に抗して』(青土社、2022年)
藤高和輝『バトラー入門』(筑摩書房、2024年)
立ち現れる道
講師:古川不可知
視聴期間:2026/7/15~10/15
私たちは何気なく歩きながら日々を送っている。だがよく見てみると、私たちそれぞれは多様な環境の中を千差万別のやり方で歩いてゆくことがわかる。本講義では、ヒマラヤの高山地帯に暮らすシェルパの人々の実践を手掛かりに、歩くとはどのようなことか、また道があるとはいかなる状態かを考える。絶えず変化する高山の斜面に手がかりを見出し、他者と歩調を合わせながら山中を移動してゆくシェルパたちの営み。それは、一人ずつ異なった身体を持つ私たちが、他者の身体を想像しながらこの世界で共に生きるための手がかりでもある。
■古川不可知(ふるかわ・ふかち)
1982年生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究院・准教授。博士(人間科学)。専門は文化人類学とヒマラヤ地域研究。エベレストの麓に住むシェルパの人々の文化や山岳観光の実践と影響、山間部のインフラストラクチャーなどについて研究してきた。近年は東アジアの登山文化の比較研究にも取り組んでいる。
■参考書籍
・古川不可知『「シェルパ」と道の人類学』(亜紀書房,2020年)
・ティム・インゴルド『教育とは何か』古川不可知訳(亜紀書房,2025年)
あふれだす熊
-ルーマニア熊祭りにみる歴史と野生の相剋-
講師:阪本佳郎
視聴期間:2026/8/1~11/1
ルーマニアのトロトゥシュ川流域では、新年の祝いと厄除けのために、熊祭りが行われる。熊の毛皮を被った人々が行列となり、家々で霊威に満ちたダンスを舞い踊るのだ。共産主義が終焉、EUへと加盟し、市場主義が侵透する中、祭りの規模はここ十数年で大きく規模を広げてきた。それは、ほんものの熊が山を降り、街を徘徊することが問題となり出した時代とも機を重ねている。「祖先の伝統」へと連なろうとするこのフェスティバルは、前世紀後半まで、ウルサリ(熊使い)と呼ばれる“チガン(ロマ人)”たちの担った芸能でもあった。文化と野生、精神と身体、歴史と神話、生と死、正統と異端、西と東、都市と農村───、そのひび割れたすき間からあふれだす「熊」。本講では、熊祭りの行列に加わりながら旅をし撮影した映像詩を見ながら、「熊」の内実に迫りたい。それはルーマニア固有のものでありつつ、人と自然の交雑する歴史への普遍的問いにひらかれている。
■阪本佳郎(さかもと・よしろう)
京都芸術大学、文芸表現学科、専任講師。ルーマニアの亡命詩人シュテファン・バチウの足跡をたどりルーマニア、スイス、ハワイにて調査研究。著書に、評伝『シュテファン・バチウ ある亡命詩人の生涯と海を越えた歌』(コトニ社、2024)、編著にMELE ARCHIPELAGO - Homage to Stefan Baciu for the poet’s centennial anniversary, Editura Archipelago, 2019がある。
■参考書籍
・ ヴィトルト・シャブウォフスキ 『踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々』芝田 文乃 訳(白水社,2021)
・中沢新一『熊から王へ 〈カイエ・ソバージュII〉』(講談社,2002年)
・ナスターシャ・マルタン『熊になったわたし 人類学者、シベリアで世界の狭間に生きる』高野優 訳, 大石侑香解説(紀伊國屋書店,2025年)
神なき時代の宗教論
なぜ「何もない聖地」を目指すのか
講師:岡本亮輔
視聴期間:2026/8/15~11/15
この講義では、現代社会における「聖地」と「宗教性」の現在地を探る。まず、宗教の「世俗化」や「私事化」が進む中で生じている新たな宗教現象について整理し、サンティアゴ巡礼やアニメ聖地巡礼、青森のキリストの墓など多様な事例を通じて、熱い/冷たい聖地や真正性の概念を確認する。後半ではフランスの「テゼ共同体」に焦点を当てる。伝統的な宗教性を排しながらも若者を惹きつけるこの場所を、「水平方向の交感」や「自ら意味を見出す巡礼」という視点から読み解き、これからの精神性やコミュニティの可能性を考察する。
■岡本亮輔(おかもと・りょうすけ)
1979年東京生まれ。北海道大学教授、博士(文学)。専門は宗教学と観光学。著書に『聖地と祈りの宗教社会学』(春風社、2012)、『江戸東京の聖地を歩く』(ちくま新書、2017)、『創造論者vs.無神論者──宗教と科学の百年戦争』(講談社、2023)、『キリスト教入門の系譜──内村鑑三、遠藤周作から渡辺和子、オンライン教会まで』(中央公論新社、2026)など。
■参考書籍
・岡本亮輔『聖地巡礼──世界遺産からアニメの舞台まで』(中公新書、2015年)
・岡本亮輔『宗教と日本人──葬式仏教からスピリチュアル文化まで』(中公新書、2021年)
生の技法としての即興
講師:井谷信彦/堀光希
視聴期間:2026/9/1~12/1
アートをはじめ、ケア、医療、教育などの領域でも注目されている即興の知恵。機知や機転とも呼ばれる即興の技量はいかにして培うことができるのか? この問いが私の探求の出発点にありました。今回の講義では、喜びの探求、協働による創造、価値の生成など、十余年の探求を経ていま一番オモシロイと考えていることを、お話ししたいと思っています。即興演劇俳優の堀光希さんとの対話をとおして、複数の視点から即興について語り、問い、共に探求できればと願っています。台本もない、楽譜もない、ひとつに決められた答えもない、自由と不確実性にあふれる即興の世界へようこそ(井谷信彦)。
■井谷信彦(いたに・のぶひこ)
1980年生まれ。専門は教育哲学・臨床教育学。受苦、情感、即興など、言葉にして説明したとたんに元来の特質が失われてしまう現象に関心を寄せながら、ひとが生きることと学ぶことの関係を探求している。即興演劇、即興音楽など、即興と名のつく営みに目がないインプロホリック。遊ぶ/学ぶインプロゲーム主催。武庫川女子大学教育学部准教授。
■堀光希(ほり・こうき)
1994年生まれ。専門はインプロ(即興演劇)。イギリスの劇作家/演出家のキース・ジョンストンのインプロ方法論を下敷きにSpontaneity(自然発生性:空想やイメージが自動的に生成する脳機能)に着目した教育実践を探究する。俳優として四季折々のインプロショーや遊ばなくなったおもちゃから即興で演劇をつくるパフォーマンスなども企画・上演する。
■参考書籍
・高尾隆・園部友里恵(編著)『インプロ教育の探究』(新曜社、2024年)
・矢野智司・西平直(編著)『臨床教育学』(協同出版、2017年)
「ただそうあること」から
講師:松本拓
視聴期間:2026/9/15~12/15
世界はこんなにも美しく豊かなのに、どうして社会は貧しく生きづらいのか? 私たちの生を、よりしなやかで喜びに満ちたものへと広げていくにはどうすればよいのだろう? そのヒントは、ヒト/モノ/出来事を、「ただそうあること」として肯定することにあるかもしれない。本講義では、芸術や障害者アートについての話をベースとしながら、社会の生きづらさの正体についてはギデンズの社会学から、「ただそうあること」についてはジンメルやドゥルーズの哲学から考えていきます。芸術や障害者アートの例を通して、理論からだけでなく、感覚的な理解にもつなげていけるようなアプローチを試みます。
■松本拓(まつもと・たく)
龍谷大学ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター研究員。専門は哲学寄りの社会学。障害者アートに関する研究、パブリックスペースにおける障碍者アート展の企画実施と共に、障害をもつ方を対象にした「ひらく絵画教室」を主催。共著に、青木恵理子編『アートの根っこ』(光洋書房)、青木恵理子編『<生の芸術>への誘い』(ナカニシヤ出版)。
■参考書籍
・アンソニー・ギデンズ 『モダニティと自己アイデンティティ』(ちくま学芸文庫 2021年)
・青木恵理子編『<生の芸術>への誘い』/第5章・松本拓「出来事としての障害」(ナカニシヤ出版 2025年)
●フィールドワーク
(オプション参加制)
フィールドワーク「生きる場としての地域を考える2泊3日」(@あわ居)は、「生のスコーレ」の全コマ受講者の方が、オプションで選択できる特別授業です。当日はゲスト講師として、イタリア精神保健をとりまく「地域」の姿を鮮やかに描き出した名著『プシコ ナウティカ』の著者である人類学者の松嶋健さん(広島大大学院教授/1・2・3日目)と、あわ居のある石徹白集落(岐阜県郡上市)で地域づくりを実践されている地域再生機構副理事長の平野彰秀さん(1日目)をお招きします。石徹白集落の人々や歴史、文化、風土に深く触れるとともに、ゲスト講師による講義、共に受講する仲間とのダイアローグ、石徹白住民とのグループワークなどの時間を通して、地域で生きることについて全身的に思考しながら、自身の生き方や社会のありようを共に問い直していくことに取り組みます。
***
石徹白に根ざして生きること
講師:平野彰秀
(1日目/単発視聴なし)
フィールドワークの初日の講義を担当させていただきます。私は、2011年にこの集落に移り住んだ、いわゆる「移住者」です。あわ居の岩瀬さんご一家も含め、この集落には過去15年間に移り住んできた人が多く、人口の約4分の1を移住者世帯が占めています。私は、この集落の存続を自らのミッションととらえ、いわゆる「地域づくり」に取り組んでいますが、その活動の内容と、背景にある思いをお話ししたいと考えています。
■平野彰秀(ひらの・あきひで)
1975年生まれ。岐阜市出身。18歳より14年間東京で暮らした後、32歳のときに岐阜市にUターン。35歳で石徹白に移住し、15年目。妻と4男児とともに暮らす。地域再生機構、石徹白洋品店、石徹白地区地域づくり協議会、やすらぎの里いとしろ、石徹白農業用水農業協同組合、石徹白エリアマネジメントなど、地域内外のさまざまな団体に携わる。
■参考書籍
・平野馨生里『石徹白洋品店物語』(婦人之友社、2025年)
座談会
すき間にある声を聴く
話題提供者:岩瀬美佳子
聞き手:松嶋健
(2日目/単発視聴なし)
何気ない会話の中の回想が、唄のように聴こえてくることがあります。土地に根づいて暮らす高齢の方たちと交流する中で度々耳にする、鮮明な記憶の断片。言語を超えてありありと浮かびあがる情景は、現実よりも奥行きをもって、生を支えてきたかのように目に輝きを湛えながら語られます。一方、逃れられなかった痛みは非言語として語られることもあります。辛苦と喜びの混在する仕事唄の句は、かつて即興で繰り広げられていたといいます。外在化されたものは唄となり、風土とともに時代を超え届いてくる。死を意識するからこそ紡がれる生の語りをいかに受け止め、合いの手を入れるのか。社会にかき消されそうな、そのすき間にある声を掬い、社会や役割に繋ぎ生かしていくこととは───。その声の拠り所と可能性についてお話ししてみたいと思います。
■岩瀬美佳子(いわせ・みかこ)
1981年千葉県出身。あわ居主宰/料理担当。分野を問わない自らの表現を辿り、随所に宿るアートの可能性を探究。現在は精神的な地域資源に着目し、小さな福祉団体の設立や、介護ヘルパー、地域交流サロン「喫茶こだま」の運営など、地域の福祉活動を通じたアートの実践を試みている。現在、通信大学で精神保健を学んでいる。
■参考書籍
・ミヒャエル・エンデ『モモ』(岩波書店、2005年)
生きている
〈テリトーリオ(territorio)〉
講師:松嶋健
(2日目/単発視聴なし)
人が生きるためには、場そのものが生きていなければならないと思います。けれども、「場が生きている」というのは、いったいどのようなことを意味しているのでしょう。本講義では、「地域」とも「テリトリー」とも似て非なるものである〈テリトーリオ(territorio)〉という概念を手がかりに、イタリアの精神保健や先住民社会の事例、さらには石徹白で見たり感じたりしたことを通して、皆さんと一緒に考えたいと思います。
■松嶋健(まつしま・たけし)
広島大学大学院人間社会科学研究科教授。人類学者。どれほど大変な出来事があり、いかに社会が変化しようとも、残り続けるもの、繰り返し甦ってくるものがある。存在の根っこに常に潜在しているものについて、病気と健康、食と発酵、信仰と芸術、などを通して研究を行なっている。著書に『プシコ ナウティカ:イタリア精神医療の人類学』(世界思想社、2014年)、『トラウマを生きる』『トラウマを共有する』(共編著、京都大学学術出版会、2018・2019年)、『文化人類学の思考法』(共著、世界思想社、2019年)、『アートの根っこ』(共著、晃洋書房、2022年)、『精神医療・心のケアを問い直す』(共著、遠見書房、2025年)ほか。
■参考書籍
・松嶋健著『プシコ ナウティカ:イタリア精神医療の人類学』(世界思想社、2014年)
〈異〉と出遭う場所
講師:岩瀬崇
(3日目/単発視聴なし)
本講義では、「〈異〉と出遭う場所」というあわ居のコンセプトをベースとしながら、その概要や背景、実践の軌跡について、まずお話しします。その後、「何をしたいのかわからないけれど、それでも始めること」「手を動かしながら考えること」「何の意味や価値があるのか明確でないけれど、それでも他者に差し出すこと」といったあわ居をかたちづくる複数のキーワードについて、あるいは石徹白集落の風土や歴史との絡まり合いの中であわ居という場所が成立しているという点について、学術的な概念や理論なども引用しながら紐解いていきます。今日における創造や、場所に根ざした仕事の有り様、アートの可能性に関して深く思考する時間にできればと思っています。
■岩瀬崇(いわせ・たかし)
1987年岐阜県大垣市生まれ。あわ居主宰、書家。言語を超えたもの=「ことば」が探究テーマ。あわ居の運営、書作品の制作、書籍の執筆など、ジャンルや領域を跨ぎながら、「ことば」が生じる時間/空間をひらく実践に取り組んでいる。著書に『詩と共生』『ことばの途上』『ことばの共同体』等がある。2024年12月にあわ居のこれまでの実践をまとめた書籍『あわ居-<異>と出遭う場所ー』を刊行。
■参考書籍
・岩瀬美佳子・岩瀬崇『あわ居-〈異〉と出遭う場所-』(あわ居、2024年)
・岩瀬崇『ことばの途上』(あわ居、2021年)
●受講費・定員
| 受講スタイル | 価格(税込) | 定員 |
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全コマ受講 (計16コマ) |
88,000円 |
20名 満席 |
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フィールドワーク参加 9月4日(金)~6日(日) (@あわ居/2泊3日) ※全コマ受講者に限る |
50,000円 |
8名 満席 |
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講義単発視聴 (90分/1コマ) |
6,000円 |
*
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学割(大学生・大学院生・専門学校生など) ※全コマ受講のみ |
税込価格から15,000円引き |
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【フィールドワーク参加費について】 ●参加費に含まれているもの ・プログラム運営費 ・あわ居での宿泊費(2泊/男女別相部屋/あわ居本棟またはあわ居別棟) ・4回分のお食事代(1日目夕食/2日目の朝食・夕食/3日目の朝食)
●参加費に含まれてないもの ・現地までの交通費 ・温泉代(900円×2日分) ・2日目と3日目の昼食費(それぞれ1200円程度の予定)
【その他備考】 ・最少催行人数:4名(全コマ受講者およびフィールドワーク参加者が4名に達しない場合、各プログラムの開催を中止することがあります。あらかじめご了承ください) ・全コマ受講およびフィールドワークは、先着順での受付となります。定員に達した場合は、キャンセル待ちでのご案内となりますので、あらかじめご了承ください。 ・各講義の参考書籍は、講義内容の理解を深めるための参考資料です。受講にあたって購入は必須ではありませんので、必要に応じてご活用ください。 ・オリエンテーション(4月4日土曜)と修了式(10月17日土曜)はいずれもam9:30~11:00に実施します。あらかじめ日程の確保をお願いします。 ・グループワーク/パーソナルセッションの日程は受講者の方のご都合をうかがいながら決定します。グループワークは4~5名程度に分かれて、受講者同士のダイアローグを実施する予定です(ファシリテーター:岩瀬崇/あわ居)。 ・全コマ受講を希望される方で、経済的な理由により受講が難しい方や、家族/ご夫婦/ご友人などと一緒に受講をご検討されている方は個別にご相談ください。必要に応じて、支援や割引など柔軟な対応を検討いたします。分割払いについてもお気軽にご相談ください。 |
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