滞在者インタビュー集

 

vol.11

小野木淳さん 1985年生まれ

小野木美里さん 1985年生まれ

小野木民(たみ)さん 2016年生まれ 

小野木円(まど)さん 2019年生まれ

 

2022年2月にあわ居別棟滞在(1泊2日)


淳:小野木淳さん / 美:小野木美里さん

 

 

―あわ居別棟にご家族4人で、1日滞在されての印象や感想など、まずはお聞かせ頂けますか。

 

淳:まず、玄関から中に入って、調度品や、空間の清涼さに感動しました。すごく気持ちが良かったですね。

 

美: 季節が冬だったので、建物に入るまでの道にびっくりしました。橋を渡って、少し陸の孤島というか、僻地に来たんだなっていう感じがありました。特に、玄関前の、雪囲いや雪の壁は特別な感じがしましたね。逆にその分、別の季節にも来たいなぁって。別棟の縁側から川が見えますよね、その川を見ながら、夏だったら入りたいなぁと思っていました。台所の窓から、雪がずっと舞ってるのが見えて、ここで生活してみたいなって。改めての家族の時間だったから、家にいる感じとは違った感じでした。

 

美:滞在中にやっているのは、家でやっていることと同じことだったんです。例えば子どもと絵本を読むこと。でもなんだろう、、、。絵本を読むことだけに集中できたと言えば良いのかな。家だと気が散って、絵本さえも、ちゃんと読んであげれなかったりするけれど。場所を変えて絵本を読んでるだけなんだけれど、それがとても充実していました。

 

淳:普段の生活だと、寝るときには絵本読むけれど、それ以外で子どもと絵本読むって見ない風景なので。あわ居別棟の1階のダイニングテーブルで、美里ちゃんと子ども達が絵本を読んでいる場面を、すごく微笑ましく見ていた記憶があります。朝からそういうの良いなぁって。

 

美:それとは別に、私は朝に少しだけ早く起きたから、ひとりで1階に降りてきて、ひとりで本を読むことも出来ました。自分の中に、本を読もうっていう気持ちが出てきたことが、うれしかった。なかなかそういうことってないから。もともと本は好きなんですが、普段なかなか時間があっても本を読もうって気になれないんです。でもあわ居別棟では、自分が本を読んでみたいっていう気持ちが起こって、ちょっとハーブティーを入れたりもして。やっぱり場所かなぁ、雰囲気や情報の少なさ。家だと家事のことを考えたり、時間に追われてしまう。場所の力っていうのはすごいあったような気がしますね。

 

 

淳:二階で一緒に寝るって時に、照明をどうするかすごく考えたり、すごく集中して布団を敷いたりしましたね。雪でとても静かだったんで。自分の感覚的なものが、なんていうか、、、、、。すごくちっちゃなことも気にしながらやった記憶がある。ちゃんと敷こうって。職業柄、いつも割とちゃんとやりますけど、でも改めてちゃんとやろうって。あ、あと、子ども達はキッチンの道具をいろいろ触って、料理がしたそうだった。

 

美:あー、したそうだったね。

 

淳:そういうモチベーションになっていました。空間的にも。ダイニングキッチンのところ、それこそ家族4人くらいで、ちょうど目の届く範囲で。

 

美:確かに、ちょっとぎゅっとしてたよね、あの広さも良いのかなぁ。サイズ感の影響があるかもしれない。ぎゅっと距離が縮まる感じ。

 

 

―家族間の距離が。

 

 

美:そうですね、距離感がいつもと違った。雪で音もしないし。

 

淳:僕らの暮らし方もあるけれど、ダイニングテーブルがあって、キッチンで4人でいるっていうのは普段はないよね。

 

美:日常だと、もうちょっと動いているというか、流れているって感覚がある。別棟はもうすこし時間がゆっくり流れている感じがしたかな。

 

 

―良くも悪くも違和感があった。

 

 

淳:そうですね。でも、季節ごとにやっぱり来てみたいよね、全然違ってきそう。風景もそうだし、外に出れるかどうかによっても違うと思う。今回は、深夜に、ひとりで玄関前でタバコを吸った感じがすごい良かった、雪に囲まれて。良い意味での孤独感というか。それは僕のあわ居全体のイメージでもあるんだけど。立地的にも近所とそんなに接している場所じゃないし、雪でなおさらそうだったんだろうけど。静かに集中して何かしたいなって気になるよね。ひとつひとつ風とか、川を見る時なんかも。

 

美:確かに、それはあったかな。ひとつひとつを丁寧に過ごすじゃないけれど、おのずとそうなってた感じがあった。あとは、刺激をもらった部分もありました、あの空間に。アイディアもそうですし、家に戻ってからこういうことがしたいなぁって、あの空間にいながら色んな欲求が出てきた。私は、1階のリビングの空間からの刺激が特にあったかな。あそこでお茶してた時に。家を調えてみたいとか、自分の仕事でもこういう空間でこういうことしてみたいとか。あんな穏やかな時間だったけれど、すごく刺激をもらった感じでした。あとは、一階でひとりで居たときに、なんか本当にひとりになれているって、感じがしましたね。なんていうんだろう、静かで清潔な室内で、落ち着けるというか。

 

 

―普段のひとりで居る時の感覚とはまた違った感じですか?

 

 

美:なんだろうなぁ、、、、。うーん、、、、、。何にも追われずに、今目の前の本に集中できる幸せというか。それに丁寧に向き合えたっていうことの幸せかなぁ。実際はパラパラめくったくらいで、そんなに読めてないんですけど(笑)。普段、家ではなかなかそういうことが出来ないからですかね。情報がごちゃごちゃしてるし、いろいろ気になるから。周りに人もいないし、そこを気にせずに出来た。

 

淳:何日間か泊まってみたいってのはあったよね。

 

美:特別なことっていうより、あの空間の中で、お料理作って、みんなで囲んで、お酒飲んでっていうなんかそんな時間を長くとりたいかなぁ。生活してみたい。

 

―宿泊をしに行ってるのに、生活をしてみたい。

 

美:もてなされるっていうよりも、あそこに行って、そこで何かを自分でしてみたいって強く思いました。普段作っていない料理を、っていうのも勿論あるけれど、なんでも良いと思うんです、目玉焼きでも。特別なことをしたいっていうよりも、単純なことをしたいなって。そこの空間を自分で使いたいって。

 

―何かをしたいっていう、自発的な気持ちが、強く沸き上がったみたいな部分があったということでしょうか。

 

美:そうですね、そういうのって、普段は使ってなかった感覚だったかもしれない。そういう感覚を久しぶりに思い出して、なんだかわくわくしましたね。

 

 

インタビュー実施日:2022/5/2 聞き手:岩瀬崇